1987年発売、100万台という売り上げを記録した低価格ステレオカセットテーププレーヤー、『遊歩人』KC-8が入荷しました! 良盤ディスクのご利用ありがとうございました。
遊歩人KC-8(以下遊歩人)は1987年当時おおよそ3,000円ほどで販売されていました。他メーカーのいわゆる「ヘッドホンステレオ」が販売価格20,000円前後だったことを考えると破格の値段だったと思います。ちなみに下の画像は遊歩人とほぼ同年代、1987年のグッドデザイン賞を受賞したソニーのウォークマンWM-109です。定価29,000円ということを考えると、遊歩人のリーズナブルさがよりわかっていただけるのではないかと思います。
1980年代はポータブルミュージックプレーヤーにとってもまさに「バブル」な時期であった、といえます。
メーカー各社が様々な技術を開発し、印象的なデザインを施し、華やかな広告で商品をアピールしていました。家電メーカーは年に何度も新機種を出しており、特に技術競争は今では考えられないスピード感で行われていました(あえて言えば、2000年代のPCの進化に近いでしょうか)。ざっと思いつくだけでもDD方式や、光リモコン、防水仕様などなど……便利な機能で各社しのぎを削り、限られたお小遣いで「この1台」を決める消費者(その多くは学生でした)を大いに悩ませたのでした。
1987年当時、カセットプレーヤー百花繚乱の時代。そんな中突然現れた新星が、今回お譲りいただいた「遊歩人」なのです。
デザインはシンプル極まれりですが、フロントとバックパネルの中間はあえて違う色を使用しアクセントとしています。フロントパネルの斜線はテープ残量を目視できるような機能性とデザイン性を併せ持ったものとなっています。
それでは肝心のメカニズムを見てみましょう! 上2枚の写真を見て既にお気づきの方も多いかと思います。
本商品はオートリバースはおろか、早送りや巻き戻し機能もついておりません。
使い方はごくごくシンプルで、カセットを入れて電源を入れれば再生が始まります。ボリュームはMIN,MID,MAXの3段階のみ。止めたいときは電源をOFFにするだけ。
もちろんスピーカーはついていないのでヘッドホンでお楽しみください。
☆確か付属のヘッドホンもシンプルこの上ないデザインだったような……(私物ヘッドホンは紛失、今回お譲りいただいた商品にも付属していませんでした。情報求ム)。
少し興味が有ったので、思い切って内部構造を見てみました。
なんと! 表面上にビス類は一切なく、ツメで止まっているだけでした。慎重にドライバーでツメを押し込みバックパネルを外してみました。
内部はご覧の通りシンプル基板にアンプのICが乗っていました。
奇跡的にゴムベルトは切れてはいなかったですが、のびのびでした。張りが緩すぎてテープの回転には至らず残念です。
中も外も割り切り設計の遊歩人。作ったのは熊本のベンチャー企業である株式会社遊歩人(「遊歩人」のヒットで社名を商品名にしたのです)。その後、他社でOEM生産されていましたが、カセットテープブームが終わりとともに目にすることも少なくなりました(もちろん、カセットテープ自体はもうしばらく多方面で活躍するのですが)。それでもカセットテープ、カセットプレーヤーを本当に身近な存在にした立役者として、遊歩人が世に出た意味はあると思います。
本日は思い出の機械「遊歩人」を紹介させていただきました。
希少価値がある、というわけではないのですが、あのころを生きていた人であれば共感していただけると思いブログで取り上げてみました。「遊歩人」以外でも、皆様の思い出の愛機がございましたらお気軽にコメントをお願いします。
良盤ディスクでは、遊歩人をはじめ各種カセットプレーヤーを高価買取させていただきます。
お客様の大切にされてきたカセットプレーヤーを泣く泣く手放そうとお考えでしたら、是非当店に一度ご相談下さい。
音楽好きなスタッフが丁寧に査定させて頂きます。