
今回は洋楽カセットテープを60本以上お譲りいただきました。
良盤ディスクをご利用いただき、誠にありがとうございます!
Bob MarleyやBunny Wailerといったレゲエ勢から、Miles Davis、Keith Jarrett、George Benson、Anita Baker、Najeeまで。
ジャンルだけ見るとバラバラにも見えますが、実際に並べてみると不思議と違和感がありません。
どれも1980年代前後の空気をまとった作品ばかりだからでしょうか。
有名盤もありますが、個人的に面白かったのは、その少し先にある作品たちも自然に混ざっていたことです。
Bob Marleyを聴いているうちにBunny Wailerへ辿り着いたり、George Bensonを聴いているうちに別のジャズ作品へ手を伸ばしたり。
そんな音楽の広がりを感じるタイトルも多く含まれていました。
今回はその中から特に印象に残った作品をご紹介いたします。

今回のレゲエ作品の中で、真っ先に目を引いたのがこのタイトルでした。
Bunny WailerはBob Marley、Peter Toshと並ぶオリジナル・ウェイラーズの一員です。
しかし日本ではBob Marleyほど語られる機会は多くありません。
そのため、レゲエを聴き始めた頃は名前を知っていても、作品まではなかなか辿り着かない存在かもしれません。
そんなBunny Wailerが1976年に発表した『Blackheart Man』は、ルーツ・レゲエを語るうえで外せない名盤として知られています。
収録曲の「Dreamland」は後年も多くのレゲエファンに愛され続けており、このアルバムを代表する1曲です。
面白いのは、この作品が単なるソロデビュー作ではないこと。
当時のジャマイカ社会やラスタファリ思想、Bunny Wailer自身の体験なども色濃く反映されており、Bob Marley作品とはまた違った角度からルーツ・レゲエの世界に触れることができます。
そしてカセットとなると、さらに見かけません。
当店で確認した範囲では、過去10年でも市場に出てきた例はごくわずかでした。
希少だから凄いというより、「レゲエ好きが辿り着く作品のひとつ」がカセットで残っていたことに思わず反応してしまいました。



Bob Marley作品も複数タイトルお譲りいただきました。
中でも印象的だったのが、『Kaya』『Babylon By Bus』『Confrontation』という組み合わせです。
『Kaya』は1978年発表。
Bob Marley作品の中では比較的穏やかな空気を持ったアルバムで、「Is This Love」や「Satisfy My Soul」など現在でも人気の高い楽曲が収録されています。
政治色や闘争的なイメージで語られることの多いBob Marleyですが、『Kaya』を聴くとまた違った魅力が見えてきます。
一方、『Babylon By Bus』は同年に発表されたライブ盤です。
ライブ盤というと補足的な作品として扱われることもありますが、このアルバムは別格です。
スタジオ盤では味わえない熱量がありながら演奏も非常に完成度が高く、Bob Marleyのライブの凄さを知るならまず名前が挙がる1枚と言っても過言ではありません。
そして『Confrontation』。
1983年に発表された没後作品で、「Buffalo Soldier」収録作としても知られています。
Bob Marleyが亡くなったあとも未発表音源や未完成曲への関心が続いていたことを物語る作品であり、単なる追悼盤ではなくBob Marleyの歴史を語るうえで欠かせない1枚です。
代表作だけで終わらず、スタジオ盤、ライブ盤、没後作品。
それぞれ異なる角度からBob Marleyを楽しめるタイトルが揃っていたのが印象的でした。

レゲエ好きならこちらも見逃せません。
1981年発表の『Red』は、Black Uhuruを代表する作品であり、80年代ルーツ・レゲエを語る際には必ず名前が挙がる名盤です。
特に有名なのは、後にレゲエ界最強のリズム隊とも呼ばれるSly DunbarとRobbie Shakespeare、いわゆる”Sly & Robbie”が参加していること。
この2人の名前だけで反応するレゲエファンも少なくありません。
Bob Marleyが世界的スターとしてレゲエを広めた存在だとすれば、Black Uhuruは80年代以降のレゲエの進化を象徴する存在のひとつです。
実際に『Red』を聴くと、70年代ルーツ・レゲエの空気を残しながらも、より洗練されたサウンドへ向かっていく時代の変化が感じられます。
レゲエを聴き進めていくと、どこかでBlack Uhuruの名前に行き当たる方も多いのではないでしょうか。
だからこそ今回のコレクションの中でこのタイトルを見つけた時は、「『Red』もあるんだ」と少し嬉しくなりました。

今回のジャズ作品群の中で、個人的に最も目を引いたタイトルです。
Keith Jarrettといえば『The Köln Concert』を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、『Belonging』はそれとは少し違う魅力を持った作品です。
1974年に録音された、いわゆる“ヨーロピアン・カルテット”による作品で、Jan Garbarek、Palle Danielsson、Jon ChristensenというECMを代表するメンバーが参加しています。
この作品が面白いのは、アメリカのジャズとはどこか空気が違うことです。
熱量やスイング感で押していくというより、広い風景の中に音が置かれているような感覚があります。
特にJan Garbarekのサックスは独特で、一音鳴っただけで「Garbarekだ」と分かるほど個性があります。
ECM作品はジャズファンから高く評価されていますが、決して派手な作品ではありません。
それでも長く支持されているのは、このレーベルにしかない空気感があるからでしょう。
今でもECMを掘り始める入口として『Belonging』を挙げる人は少なくありません。
Keith Jarrett作品の中でも、ECMを好きな方から特に支持の厚い1枚ではないでしょうか。

有名盤だからこそ、今回はあえて取り上げたい作品です。
1986年発表。プロデュースを担当したのはMarcus Millerです。
当時のジャズ界ではかなり大胆だったシンセサイザーや打ち込みを積極的に取り入れ、従来のMiles Davis作品とは大きく異なるサウンドに仕上がっています。
そのため発表当時は賛否が分かれました。
しかし今改めて聴くと、「80年代」という時代そのものが封じ込められているようにも感じます。
ジャズとして聴くのか。
あるいは80年代のブラック・コンテンポラリーやアーバン・ミュージックの流れの中で聴くのか。
聴く人によって印象が変わる作品かもしれません。
今回のコレクションにはGeorge Benson、Anita Baker、Najeeなども含まれていました。
そうした作品たちと並んでいると、『Tutu』もまた80年代の空気を象徴する1枚として見えてきます。

今回のジャズ作品の中では、思わず二度見したタイトルでした。
Milt Jacksonといえば、モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)のヴィブラフォン奏者として知られています。
MJQはジャズの中でも洗練されたサウンドで人気を集めたグループですが、その中心にいたのがMilt Jacksonです。
ヴィブラフォンという楽器はジャズの主役になる機会が決して多くありません。
それでもMilt Jacksonの演奏を聴くと、「この人だから成立する音」と感じる瞬間があります。
そして興味深いのが、この『Bebop』というタイトルです。
MJQからMilt Jacksonを知った方なら、まず思い浮かぶのは端正で上品な演奏かもしれません。
ところが本作では、そのイメージとは少し違った一面を聴くことができます。
タイトルどおりビバップ色の濃い内容で、MJQのイメージだけでMilt Jacksonを知っていると少し驚くかもしれません。
ジャズを聴き進めていく中でMilt Jacksonへ辿り着くことはあっても、その先の『Bebop』まで持っている人はそれほど多くない印象があります。
だからこそ今回のコレクションの中で見つけた時は、「おっ」と思わず手が止まりました。
有名盤を並べただけでは出てこない、今回のコレクションらしさを感じた1本です。

George Benson作品も複数確認できました。
その中でも印象的だったのが、Earl Klughとの共演盤『Collaboration』です。
George Bensonといえば華やかなボーカル作品や『Breezin’』を思い浮かべる方も多いと思います。
一方で本作は、ギタリスト同士の対話をじっくり楽しむタイプの作品です。
Earl Klughは派手に弾き倒すタイプではありません。
だからこそGeorge Bensonとの組み合わせが面白い。
お互いの技巧を競い合うのではなく、心地よい距離感で演奏が続いていきます。
ギター好きなら思わずニヤリとしてしまう1枚ではないでしょうか。

Stevie Wonder作品の中では少し不思議な立ち位置のアルバムかもしれません。
どうしても70年代の『Songs in the Key of Life』や『Innervisions』が注目されるため、1985年発表の本作は語られる機会がやや少なめです。
しかし収録曲を見ると、「Part-Time Lover」をはじめ今でも耳にする機会の多い楽曲が並んでいます。
シンセサイザーを駆使したサウンドはまさに80年代そのもの。
Stevie Wonder黄金期後の作品として片付けるには、少しもったいないアルバムです。
今回のコレクション全体を見ても、この作品が持つ80年代らしさはかなり際立っていました。

AOR好きなら思わず反応してしまうタイトルです。
Boz Scaggsといえば1976年の大ヒット作『Silk Degrees』の印象が強く、どうしてもそちらへ話題が集中します。
そのため1988年発表の『Other Roads』は少し影に隠れがちな存在かもしれません。
しかし実際に聴くと、80年代後半らしい洗練されたサウンドが詰まっています。
AORというよりアダルト・コンテンポラリー寄りの雰囲気もあり、George BensonやAnita Bakerと並んでいても違和感がありません。
70年代の作品が注目されることの多いBoz Scaggsですが、本作を聴くと80年代のBoz Scaggsもまた魅力的だと感じます。

今回のコレクションを見ていて、「この方はFMラジオもよく聴いていたのかもしれない」と感じたのがNajeeでした。
1980年代後半から90年代初頭にかけて、Najeeはスムースジャズやアーバン・コンテンポラリーの代表的な存在として人気を集めました。
George BensonやAnita Baker、Grover Washington Jr.などと並んでいると、夜のFM番組やドライブで流れてきそうな空気が自然と浮かんできます。
Bunny WailerやKeith Jarrettのような作品からは音楽を掘る楽しさが感じられますが、Najeeからは当時の日常の音楽風景が見えてくるようです。
今回のコレクションの中では派手な存在ではありませんが、時代の空気を感じさせてくれる1本でした。

今回のコレクションの中で、個人的にかなり気になった作品です。
Diane Schuurはグラミー賞受賞歴もある実力派ジャズシンガーですが、日本では名前を聞く機会がそれほど多くありません。
しかしジャズボーカル好きの間では長く支持されている存在です。
そして本作の注目点は、やはりCount Basie Orchestraとの共演でしょう。
Count Basie Orchestraといえばビッグバンドジャズの歴史そのものと言っても過言ではありません。
その伝統あるビッグバンドをバックに、Diane Schuurが堂々と歌い上げています。
George BensonやNajeeが並ぶ中でこの作品が入っているのを見ると、単なるアーバン・コンテンポラリーだけではなく、ジャズボーカルやビッグバンドにも魅力を感じていた時代の空気が伝わってきます。
今見ても思わず目が止まる1本でした。
今回お譲りいただいたカセットテープは、単なるヒット作品集ではありませんでした。
Bob Marley、Miles Davis、Stevie Wonderといった誰もが知るアーティストの作品だけでなく、その先で出会うことの多い作品たちもしっかり含まれています。
Bunny Wailer『Blackheart Man』
Black Uhuru『Red』
Keith Jarrett『Belonging』
Milt Jackson『Bebop』
どれも有名盤を入り口に音楽を掘り進めていく中で出会うことの多い作品です。
だからこそ今回は、タイトルを眺めているだけでも楽しいコレクションでした。
そしてもうひとつ印象的だったのは、それらの作品がLPやCDではなくカセットで残されていたことです。
今回お譲りいただいた作品の多くは、LPやCDでも親しまれているタイトルばかりです。
それでもあえてカセットで揃えられていたのは、当時の音楽との付き合い方が関係していたのかもしれません。
1980年代後半から90年代初頭はCDが急速に普及していった時代でしたが、車やウォークマン、ラジカセなど、カセットがまだ日常の中で活躍していた時代でもありました。
George BensonやAnita Baker、Najeeといった作品を見ていると、夜のFMラジオやドライブのお供として繰り返し再生されていた光景まで想像してしまいます。
どんな機材で、どんな場所で、どんな時間に聴いていたのだろう。
そんなことまで考えさせてくれるのも、カセットコレクションならではの面白さだと感じました。
当店では今回のような洋楽カセットテープの買取も行っております。
レゲエ、ジャズ、ソウル、R&B、フュージョンなど幅広いジャンルに対応しておりますので、お気軽にご相談ください。