【宅配買取】大森靖子 自主制作盤『サマーセール-fuck movie,fuck him-』 を神奈川県厚木市のお客様よりお譲りいただきました!

大森靖子 自主制作盤『サマーセール-fuck movie,fuck him-』 を神奈川県厚木市のお客様よりお譲りいただきました。良盤ディスクをお選びいただき、ありがとうございます。

祝・連載「超一方的完全勝利」書籍化

シンガーソングライター(本人曰く「超歌手」)として、またアイドルグループZOCの「共犯者(プロデューサー兼メンバー)」として、あるいは純然たる音楽プロデューサーとして、多方面での活躍を続ける大森靖子の4年ぶりとなる書籍が刊行されました。

以前はテレビ誌(兼サブカルチャー雑誌)、現在はデジタル媒体化されている「TV Bros.」での彼女の連載、「超一方的完全勝利」の書籍化だ。
およそ7年間にわたる連載をまとめた304ページ、間違いなく読み応えありの一冊である。
ここのところ連載が休止になっていたけれども、再開と同時に書籍刊行記念として最新の連載が無料公開されているので、以下リンクより是非読んでみてもらいたい。

彼女が多方面で活動しているように、彼女の筆さばきも実に幅広い。自身の出産や育児をユーモアたっぷりで読みやすく書くこともあれば、一読しただけでは追いつけないくらいに、彼女の頭の中で忙しくかけめぐるさまざまなイメージをそのまま文字化したような文章もある。
何しろ喜怒哀楽が質量ともに我々常人とは段違いなのだ。彼女はそれを文字にして、曲にのせて歌う。あるいは他者に提供し、プロデュースして共有する。
その中で彼女は大きな充実を感じることもあれば、うまくゆかずに大きな傷を負うこともあった。でも、彼女はとにかく表現することで生き延びてきたのだ。そうしないと生き延びられない、という切迫感を感じることすらある。それは多くの人たちを惹きつける、彼女の大きな魅力のひとつなのだ。

『超一方的完全勝利』は、そんな彼女の魅力を活字で感じることができるよい機会となるはずだ。

映画『サマーセール』と自主制作盤『サマーセール-fuck movie,fuck him-』

さきほど「多くの人たちを惹きつける」と書いたが、そうでなかった時代も当然ながらあった。2011年、彼女の歌は粗削りにすぎて、あまり人を惹きつけることができずにいた。
そんな彼女の姿と思いが、映像と音源として残っている。映画『サマーセール』と自主制作盤『サマーセール-fuck movie,fuck him-』だ。

映画『サマーセール』をとりあえず説明するとすれば、2011年、東京のラブホテルや街頭で歌う彼女を撮ったドキュメンタリーだ。
そしてとりあえず、音楽×映画の祭典<MOOSIC LAB(ムージック・ラボ)>にて「ベスト・ミュージシャン賞2012」を受賞した映画である。

しかし内実は酷いものがある。撮影・編集を行った岩渕弘樹氏本人がそうはっきりと認めているので、ご本人のコラムを是非読んでもらいたい。

彼女の生の姿をもっと引き出して映像に収めたいという彼の勢いはわかるのだが、その勢いはあまりに無鉄砲で乱暴だった。3日間を編集した映像を氏の周囲が観た際に「否定的な意見ばかりだった」というのにも頷くしかない。

そもそも、撮られるほうが撮影経費を立て替えてるドキュメンタリー映画っていったい何だ?って話なのだ。その時点で断ってもよかった。途中でやめたってよかった。しかし大森靖子は彼の無鉄砲さを受け止めた。

それは、彼女もまた、粗削りにすぎてもがく若者のひとりだったからだ。アルタ前で歌う彼女の前を人々が通り過ぎてゆくシーンがそれを象徴している。しかし、うまくゆかなくとも、カメラマンから理不尽な言葉を投げつけられても、彼女は「自分には歌しかない」と歌い続けるのだ。それは表現しつづけることをやめない今の彼女に確かにつながっている。

2011年、彼女は夏の終わりに一発録りで音源を制作、発表した。それが『サマーセール -fuck movie,fuck him-』だ。

映画と同タイトルながらサブタイトルでクソ映画、クソ野郎と罵り、「狂った夏を終わらせる」と彼女は歌詞カードに書いた。
でも、「おやすみ サマー 愛してる」とも最後に書いている。狂ったこの夏を愛してる、忘れないと彼女は言っているのだ。これはないだろう、どうかしていると相手を痛烈に批判しながらも、いっぽうでそのもどかしさ、もがく姿に深い共感を示しているのだ。先に書いた「感情の質量」の大きさは、もう当時から備わっていたことを感じさせる作品でもある。

ちなみに2016年にOTOTOY限定で「大森靖子黒歴史音源」というものが配信されたのだが、この『サマーセール』収録曲からは「あいのう」「少女3号」が選ばれている。

「黒歴史音源」とは、大森靖子本人が「これはナシだろう」と判断した楽曲だけを集めたものだそうだ。なんだか、笑ってしまう。ナシだけど、ナシだからアリ、ということか。

最後に

震災で世の中は混乱していた2011年、それでも苗場に豪華ミュージシャンが終結した夏の3日間に、無一文のカメラマンと撮影経費を立て替えてあげた無名のシンガーがいた、節電でいつもよりずっと暗かった東京の街。10年が経った今、そんなことを思うと、この映画とCDにはまた別の味わいを感じます。青春の影、という切なさを。是非。

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(書いた人)2016年に公開された岩渕監督の『モッシュピット』は素晴らしいと思った良盤ディスク 買取広報スタッフ。彼もまた、表現しつづける人なのですね。日々お売りいただいたアイテムをご紹介します。

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