【スタッフMの独り言】2010年7月15日と蜉蝣と大佑さんのこと。

毎年、7月が来ると思い出します。

『Fatima』(大佑さんが1999年までドラムを務めていたバンド)が好きだった自分にとって、どんな理由であれ、脱退したメンバーを応援するっていう気持ちにはなれなくて、何だかすごく悶々としていたのですが、『蜉蝣』(2007年解散。このバンドで、ドラムからヴォーカルへ転向)を結成して、海外にも進出して、その時の彼がすごく生き生きして見えて、胸のつかえがストンと落ちたというか。

今でこそ、ヴィジュアル系バンドでも「カリスマ」や「海外進出」という言葉をよく聞くようになりましたが、その元祖だったのではないかなと。今でも、欧州での蜉蝣の知名度って、凄かったと思っています。

2010年7月15日に大佑さんが亡くなって、でもそれが事実だと受け止められないまま、翌日の16日、池袋手刀(ライブハウス)へ行きました。

翌週の7月21日は、ソロとして2枚目の新曲『嫌』の発売を控えていたし、秋にはアルバム、その後はツアー、と亡くなる理由なんてないでしょ、って。今日も、シークレットゲストで出演するらしい、と言われていたから、普通に居るでしょって。

そのライブが、これ。

2010/7/16『LOVELESS』at 池袋手刀(ライブハウス)

出演バンド

・ヴィデオグラマァ

・dibs

・the god and death stars

元々『ヴィデオグラマァ』目当てだったのですが…。

この『the god and death stars(ザ ゴッド アンド デス スターズ)』のヴォーカル&ギターを務めていたaieさんは、大佑さんが『蜉蝣』解散後に結成した『the studs』 (スタッズ。2009年活動休止)というバンドのギタリストで。

「16日、シークレットゲスト出るらしいよ」と友人から言われて、周りでも「もしかして大佑じゃない?」みたいになって。

当日のライブ。3バンド中、1番最後に登場したのが『the god and death stars』で。

いつも通り、aieさんがヴォーカルで。

曲の合間にMCとか告知とか、普段と変わらなくて。

でも、最後の曲に入る前のMCで、aieさんボソッと言ったんだよ。

「今日、本当はここで歌うはずの人がいたんだけど、来れなくなってしまって」って。

ステージのセンターにスタンドマイクが置かれて。そこだけぼんやりと照明が当たって。

始まったのは『スパイダーネスト』。この曲は、2008年12月3日に発売された『the studs』の6枚目のシングル。

aieさんは、歌わなかった。でも、そこに大佑さんが居たような気がしました。

元バンドのメンバーで、親友でもある彼の悲報の翌日にライブに出演するなんて、相当辛かったと思います。

「来れなくなった」という言葉に、もう大佑さんはいないんだ、って涙が止まりませんでした。

もう8年も経ったのか。

そして、遺作として2011年4月20日に発売されたのが『漆黒の光』というアルバムです。生前までレコーディングをしていた曲や、親交のあったアーティストたちによってカバーされた、全12曲が収録されています。

参加したメンバーには『DIR EN GREY』の京さん、『ムック』の逹瑯さん、『MERRY』のガラさんなど、大佑さんを語る上で欠かせない人たちも。

中でも『蜉蝣』『ムック』『MERRY』の3バンドは『ヴィジュアル系御三家』と呼ばれ、2000年代初めのヴィジュアル系シーンに多大な影響を与えました。

ヴォーカル同士(大佑、逹瑯、ガラ)がすごく仲が良くて、お互いをリスペクトしていて、3人とも、ものすごくアクが強くて個性的で(笑)

ちょっとこの3バンドの登場って衝撃的だったと思います。

だからこそ余計に、大佑さんが亡くなったことが悔しくて。

1から10まで、何から何まで知っているわけではないけれど、残された2人を、その他大勢の人たちやファンの方たちのことを思うと、今でも何で、という気持ちです。

こんなに愛されていたのに、こんなに必要とされていたのに、こんなに大佑さんを大切に思う人たちがいたのにさ。

でも、最後は疲れちゃったんだよね。あるよ、そういう時って。ゆっくり眠りたい時が、ライブの前日だったってだけだよね。

今回は、ちょっとこんな感じのことを書いてみました。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

そして7月30日は、大佑さんの誕生日です。

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