1982年、いわゆる「花の82年組」としてデビューし、その卓越した歌唱力で頭一つとびぬけた人気を博した中森明菜さんのアルバムCDをお譲りいただきました。2014年にリリースされた赤帯と呼ばれる廉価盤仕様。デビューアルバムから14枚目まで、ワーナー・パイオニア時代の全アルバムとなります。
この時期(14枚目「CRUISE」が1989年)はまだアナログレコードとCDが併売されていましたので、お客様は別途そのころのレコードやCDをお持ちだったのでしょうか。14枚すべて未開封でお譲りいただいております、ありがとうございます!
今回は彼女のデビューから2年間にリリースされた5枚のアルバムをご紹介します。この時期–80年代前半は、いわゆるそれまでほぼひとくくりだった「アイドル」に様々なタイプが現れ、魅力を放ち始めた時代のような気がします。
これより後の80年代半ばからはおニャン子クラブなどのアイドルグループの登場で、またそれまでとは違った「アイドル」の多様性が進んでいったと感じます。82年組はアイドルの当たり年だったと同時に、古典的アイドルとしての最後の当たり年となったといえるかもしれません。
1982年7月1日リリース。5月1日発売のデビュー曲「スローモーション」を収録。そのほか、本盤に収録されている「あなたのポートレート」「Tシャツ・サンセット」「銀河伝説」は、デビュー曲候補として検討されていた曲です。
1982年10月27日発売のセカンドアルバムです。この年の7月28日にリリースされた「少女A」は、デビュー曲から一転して不良少女の雰囲気を帯びた曲でした。それは当時王道の清純派アイドル路線だった松田聖子に対するカウンターとなり、その後の中森明菜というキャラクターのポジションを(彼女自身が望んだかどうかはともかく)決定づけるものとなりました。また、本盤収録の「咲きほこる花に…」もデビュー曲として検討されたものです。
1983年3月23日発売のサードアルバムです。前年の11月10日に本盤の先行シングルとして「セカンド・ラブ」がリリースされていますが、その発売はいわくつきです。当時のワーナー社内では中森明菜のイメージを「少女A」の不良少女路線で確立させたいという意見が主流でした。しかし宣伝部門は明菜の路線固定を懸念し、幅広い曲を歌わせるべきとし、情感あふれるメロディの「セカンド・ラブ」に決定しました。
1983年8月10日発売の4thアルバムです。先の「ファンタジー<幻想曲>」収録の「セカンド・ラブ」の後、4枚目のシングルとして「1/2の神話」をリリースしていますが、本盤には収録されていません。しかし阿木燿子、財津和夫、谷村新司、細野晴臣、横浜銀蝿といった新たな作家陣を迎え、彼女の2年目にふさわしくアーティスト志向の強い1枚に仕上げられていました。
事実、本盤はシングル曲がないにも関わらずオリコン初登場1位、19週にわたって100位以内にランクイン、83年のアルバムチャート10位などの実績を残しています。同年末の12月21日、初のベストアルバム「BEST AKINA メモワール」をリリース。「1/2の神話」はそちらに収録されました。
1984年5月1日発売。先のBEST AKINA メモワールを挟んで6枚目、スタジオアルバムとしては5枚目となります。表題のANNIVERSARYにはデビュー3年目を迎える記念の意味が含まれています。
作家陣として尾崎亜美、国安わたる、有川正沙子らが新たに参加、明菜自身が作詩を手掛けた「夢を見させて…」が収録されています。
先行シングルとして1月1日に「北ウイング」をリリース。「北ウイング」は次の6枚目アルバム「POSSIBILITY」に続編となる「ドラマティック・エアポート -北ウイング Part II-」が収録されたほか、後の「歌姫ダブル・ディケイド」(2002)や「林哲司50周年記念トリビュートアルバム サウダージ」(2023)でも明菜自身がセルフカバーするなど、彼女を象徴する曲となりました。
以後、6枚目から14枚目は以下のようなラインナップとなります。
POSSIBILITY(1984)
BITTER AND SWEET(1985)
D404ME(1985)
不思議(1986)
CRIMSON(1986)
CROSS MY PALM(1987)
Stock(1988)
Femme Fatale(1988)
CRUISE(1989)
「CRUISE」発表後の「Dear Friend」「水に挿した花」「二人静」などはBESTIIIに収録。その後明菜はMCAビクターへと移籍し「愛撫」「原始、女は太陽だった」などを発表。
ビクター時代はカバーアルバム「歌姫」をリリースして様々な楽曲に挑戦することで、もとからの歌唱力に加え、幅広い表現力を発揮。名実ともに「歌姫」と呼べるシンガーに成長しました。「歌姫」シリーズは後にユニバーサルミュージックへの移籍後も同じタイトルで継続していますね。
本記事執筆は2023年12月下旬。つい先日・12月17日にニッポン放送の「中森明菜 オールタイムリクエスト」がオンエアされ、番組中では録音ながらもメッセージやキーワードヒントなどを寄せてくれました。いよいよ活動再開に期待が高まる明菜の次のアクションに期待せずにはいられません。
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